コラム
(概要)
平屋建ての家を建てる際の建築費を坪単価で見てみましょう。同時に建築費削減のポイントについてもお話ししたいとおもいます。
(本文)
平屋建ての家を建てる
坪単価は「工事金額÷延べ床面積(坪)=坪単価」の計算式で割り出します。
木造家屋家の場合、坪単価は60万~100万円ほどと言われますが、ここでは坪単価を80万円として平屋建ての家を建てる際の建築費を見てみましょう。
家の間取りを考える際、一般的に言われているのは、一人当たり8~10坪程度を見込むとよいということです。
単純に計算すれば、4人家族であれば40坪くらいが標準的な目安ということになります。
ただ、この計算方法は廊下などの共用部分をゆったりとった場合を念頭に置いたものですから、その点を考慮すれば、30~35坪前後あれば暮らしやすい間取りが可能と言えるでしょう。
さて、30坪の平屋建ての建築費は?
「坪単価80万円×30坪=2400万円」ということになります。
ちなみに、たとえば坪単価を70万円として30坪の家を建てる場合はどうでしょう?
「坪単価70万円×30坪=2100万円」。
坪単価80万円とは大きな違いですね。
ところで暮らしやすい間取りを一人当たり10坪とした場合、ご夫婦二人だけで暮らすのであれば、20坪あればいいことになります。20坪は一般的な2LDK相当の広さですが、坪単価50万円として計算してみましょう。
「坪単価80万円×20坪=1600万円」ということになります。
そして、坪単価を70万円としてみた場合と比べると、
「坪単価70万円×20坪=1400万円」。これも大きな違いです。
手持ちの資金、ローンを組む際の返済方法等を考え、無理のない広さを選択することをおすすめします。
建築費をおさえるポイント
家の建築費は、家のデザインによっても大きく違ってきます。たとえばL字形の家、コの字型の家、それぞれに魅力的ですが、こうした形の家を作るには時間がかかります。時間がかかるということは工期が長くなるということです。そして、工期が長くなればその分、人件費が増えます。
また、複雑な形の家は、特別な資材が必要になる場合があり、特別な資材は値が張りますから、その面からも建築費が増加することになります。
人件費、資材費等の削減を考えれば家はシンプルな形、できるだけ家を四角い形にするのが建築費をおさえるポイントです。
住宅建築の一般的な見積り金額を100とした場合、人件費と材料費で75~85%を占めると言われています。設計段階でこうした点も十分に考えておきたいところです。
平屋建ての家が2階建ての家にくらべ建築費がかかる理由の一つに屋根の大きさがあります。これは家の構造上いたしかたない点ですが、日本の屋根にはさまざまな形があって、12種類の形があります。建築費をおさえたいとお考えであれば、屋根もシンプルな形にすることをおすすめします。
一方、平屋建てには2階建てより建築費用を抑えることができる点もあります。
たとえば、地震に対する柱や梁などの耐震部材、家を支える基礎部分の部材は2階建てにくらべ平屋建てのほうが建築費を抑えることができます。また、外壁等に使われる外装材の費用も壁面積が小さい分、平屋建てのほうが費用がかかりません。
その他、建築費用削減の重要なポイントに水回りの処理があります。暮らしやすい家を作るには日常の生活動線をよく考える必要がありますが、水回りを1カ所に集中すると生活動線の上でも良い結果を生み、建築費削減にもつながります。
さらに、平屋建ての場合、採光・風通し・断熱等を考えておくと、たとえばエアコン1台で1年中快適な生活を実現することもできます。ワンフロアという平屋建てならではのメリットですが、これも建築費の削減、なにより家が建った後の光熱費の削減につながります。
暮らしやすさを考える
家を建てるに際しては、経理面をしっかりしておかなければなりません。電卓を何度も叩いて、現在の資金、ローンを組む場合の返済方法など念を入れて考える必要があります。しかしその一方「暮らしやすさ」という側面も忘れずに考えたいものです。
マンションとは違い、平屋建ては縁側と庭を接することができます。家と庭が互いに映り合う独特の美しさは2階建て3階建てにはないものですね。そして、この風情や情感は、坪単価では測ることはできません。お金には換算できませんが「暮らしやすい家」を考えた場合、重要な点です。
また、家を「生涯そこで暮らす家」と考えた場合、家を建てる際にかかる建築費だけではなく、「家の一生涯にかかるコスト」を考える必要もあるでしょう。
たとえば将来、必要になるバリアフリー化などを考えると、バリアフリーに柔軟に対応できる平屋建ては大きなメリットを持っていると言えます。
一世代だけでなく子供世代、孫世代のことこまで考えれば、平屋建ては「結局は安く仕上がる」とも言えるのです。こうした点も忘れないことが大切だとおもいます。