コラム
30坪の平屋。間取り、最適な家族構成は?
(概要)
どのくらいの広さの家がいいか、間取りはどのようなものがいいか。これらは家族構成によって違ってきます。30坪の平屋の場合はどうでしょう?
(本文)
30坪の平屋
「坪」という字は「土地の平らなところ」を意味するそうです。「土」へんに「平ら」ですから「なるほど」とおもいますが、「坪」を面積の単位に用いるのは日本だけのようです。(ときおり台湾でも使うそうですが)。
さて、この「坪」、1坪の広さは畳2枚分、約3.3㎡です。すると30坪は、約99㎡ということになります。
首都圏で供給されている分譲マンションは3LDK、専有面積70㎡~80㎡が主流と言われています。30坪(約99㎡)の広さがあれば、同じ3LDKでも、ゆったりと余裕を持った間取りが可能です。
ご夫婦2人住まいでも広すぎるということはありませんし、ご夫婦とお子さん1人の3人家族でも窮屈さはないでしょう。
ただ、マンションと違い家を作るには建ぺい率の問題があります。建ぺい率とは「その土地の何パーセントまで家を建てるために使えるか」を定めたものですが、その土地の建ぺい率が60%であれば、30坪÷60%=50坪の土地が必要になります。
このくらいの広さに建つ平屋は純和風もいいですし、また、アメリカのビーチハウス風にしてみるのもいいですね。家はデザイン次第で愛着の度合いが違ってきます。
間取りを考えてみる
さて、間取りを考えてみましょう。
(1)リビング・ダイニング・キッチン
まず、リビングですが家族が集まる場所ですから、ここは広くとりたいところです。
人気があるのはリビングとダイニングをつなぎ、家族が一緒に過ごす空間を大きくとるものです。
キッチンは、対面式のオープンキッチンが人気です。料理、後片付け、いずれも家族とコミュニケーションをとりながら行うことができます。
オープンキッチンで気をつけたいのは、キッチンセットと背面の壁や食器棚との間隔です。できれば1~1.2mは確保したいところです。と言うのも、キッチンに立つのが1人の場合は85cm程度で十分ですが、キッチンに2人が立つ、あるいは2人が交差する場合、85cm程度では窮屈になるからです。キッチンセットが壁付きの場合とこの点は大きく異なります。
(2)寝室
30坪の広さがあればご夫婦の寝室も8~10畳程度のスペースをとることができます。
ただ、最近では「寝室は、寝るだけのスペースがあればいい」という考えから、あえて狭くするケースも増えています。これも一つの考え方ですが、狭さによる圧迫感は取り除きたいものです。
そうした際、窓を上手に設置しましょう。窓の大きさや配置、方角などによって、狭い空間でも開放感を出すことができます。平屋には2階がありませんから、天井や室内の上方に窓を取り付ける、天窓も可能です。こうした平屋のメリットを上手に取り入れてみましょう。
(3)玄関
玄関は家の印象を決める場所です。「家の中を広く」という意識から玄関を狭くしてしまうと、せっかく開放感のあるリビングがあっても、お客さまに「狭い」という印象を与えてしまうことになりかねません。平屋のメリットを活かし玄関の天井を高くとると開放感にあふれた、清々しい印象の玄関になります。また、1畳程度の収納スペースをとると靴などもすっきり収まります。
(4)水周り
水周りは1カ所に集めるのがいいでしょう。キッチンから洗濯スペース、バスとつなげると生活動線も効率的になりますし、建築コストを考えた場合も水周りを1ヵ所に集中させた方がお得です。
(5)収納
物を片付ける場所がないというのは、生活するうえで大きなストレスになります。
30坪の広さがあれば、4畳程度のウォークインクローゼットをメインに、各部屋、キッチン、洗面室などにも収納スペースを設けることも可能です。
家の間取りを考える基本
家の間取りを考えるうえで大切なのは、「いま現在、必要なこと」だけではなく「将来、必要なこと」も考えることです。
といって、この「将来」を20年後、30年後と考えると明快なイメージを持つことが難しくなります。そこで、まず「5年後」を考えてみましょう。
5年経てば、いま幼稚園に通っているお子さんは小学生です。小学高学年のお子さんなら、中学生、あるいは高校生です。その時に必要になるもの、たとえば勉強部屋をどうするか、と考えて行くと具体的なイメージが浮かんでくるとおもいます。
また、家の間取りにはご家族それぞれの要望があるでしょう。ご主人は自分の書斎がほしい、奥さまはパントリーを広くとりたいなど、さまざまな要望があるはずです。
しかし、そのすべてを満足させることは難しいという場合、優先順位を決める必要が出てきます。その際、基本となるのは「家の中にいる時間が一番長い人を優先的に考える」ということです。
不満が出ることもあるでしょうが、結局、この点を基本に考えた間取りが、家族全員にとって暮らしやすい間取りという場合が多いかと思います。