コラム
マイホーム購入は人生の節目となるイベントであり、考えているだけでワクワクします。今回は、桑名で土地を買って新築を建てたいと考えているご家族のために、住まいづくりの基礎知識を紹介します。桑名の土地の特徴から具体的な新築住宅イメージのコツ、注意したいポイントまでを順を追って説明させていただきます。
桑名の土地事情
桑名は広く、エリアによって特色が異なるため、5つのエリアに分けて考えてみましょう。
古くから城下町として栄えた海側のエリア
1つ目は、桑名駅周辺から海側のエリアです。桑名の中心地で、市役所や警察署、大きな市立図書館があります。江戸時代には城下町として栄え、東海道五十三次の桑名宿があったのもこの辺りです。そのため、代々地元で生活をしている人たちがたくさんいます。
「地元の名士」と呼ばれる人が各集落にいて、集落独自の暗黙のルールみたいなものがある場合もあります。とは言っても、広いエリアなので、新しく住みつく人も多く、極端に閉鎖的なエリアではありません。大規模ではありませんが、区画整理された土地が分譲されていることもあります。国道1号線と23号線が通っているので、交通量が気になる反面、遠方へのアクセスは悪くありません。
家庭の蛇口から温泉水が出る長島エリア
長島エリアは、桑名郡に属していましたが、平成16年に桑名に合併されました。桑名の方に長島の印象を聞くと、ナガシマスパーランドを中心とした観光地のイメージか、伊勢湾台風で大きな被害を被った歴史を口にされることが多いです。
ナガシマスパーランドやなばなの里、また、木曽川でのマリンスポーツなど、長島にはレジャースポットがたくさんありますが、桑名の市街地と同じぐらい古い歴史をもつ町です。木曽川と揖斐川の三角州エリアにあたるため海抜ゼロメートルの土地も多く、伊勢湾台風のような水害を何度も経験しています。そのため、対策として盛り土をした土地に家を建てたり、主な居住空間を2階にしたりするなどの工夫がされています。
災害が多いと聞くと少し臆してしまいますが、長島には家庭に温泉水を引けるという特権があります。毎日温泉水で洗顔や入浴できたら肌も綺麗になるのでしょう。長島の女性は美人が多いとも言われています。
地平線まで戸建てが並ぶ団地エリア
大山田団地、星見ヶ丘団地をはじめ、西別所、新西方、正和台など、桑名駅から車で15分ほど離れると戸建て団地が目立ちます。区画整理された土地が多く分譲されているので、新しく入居してくる人も抵抗なく馴染めます。特に若い世代に人気のエリアと言えるでしょう。
スーパーやクリニック、幼稚園などの生活環境が整っており、小中学校も団地内にあることが多いので通学も安心です。ただし、大きな団地になると団地内に小学校がいくつかある場合があります。桑名市立の小学校でれば市が学区を区切っていますので、家の目の前が学校なのに学区が違うため通えない、なんてこともあるので、お子さんがいる家庭は事前にチェックが必要です。
このエリアの難点を挙げるなら、環境や敷地そのものが整備されているため、桑名にしては地価が高い点です。団地内の土地と、団地を出たところにある畑の多いエリアの土地だと、坪単価が数万円違うこともあります。
桑名駅から車で20分を超えるエリア
大山田団地から北西に進むと、サンシパークという商業施設があるのをご存じでしょうか。あの辺りが桑名の端で、そこから先は員弁郡東員町です。団地ではなく駅からも遠いので、以前はあまり人気がないエリアでしたが、サンシパークや東員町のイオンモールができたことで、車移動の多い方にとっての魅力的な選択肢の一つになりました。
地価もそれほど高くないので、広い庭が欲しい方や隣家を気にせず日当たりの良い家を建てたい方にはおすすめです。また、長島と同じく2014年に桑名郡から桑名市に変わった多度町も、桑名市の中では土地の坪単価が低いので、土地の広さ重視の方はチェックしてみて下さい。
桑名にはどんな住宅会社があるのか
家づくりの具体的なイメージを膨らませるためには、住宅会社をリサーチすることが必要です。マイホームの建築を依頼する先は、大手ハウスメーカー、地元パワービルダー、地場工務店、大工、設計事務所などがありますが、桑名にはそれらの会社が一通りバランスよく揃っています。
強いて言うなら、有名建築家がいるような一流建築デザイン事務所はありませんが、どうしてもデザインに凝りたい場合は、設計デザインだけなら遠方でも相談に乗ってくれる事務所があります。しかし、その場合の工事は、桑名の工務店や大工にお願いすることになるので、二度手間になるでしょう。
依頼先は桑名だけではない
デザイン事務所に限らず、桑名で家を建てるからと言って、桑名にある会社から選択しなくてはならない。という決まりはありません。住宅会社は「施工エリア」と言って、会社から車で1時間圏内、○○市と○○市、といった具合に、商圏を区切っています。工事が始まると担当者は何度も現場に足を運ぶことになるので、その移動に無理の無い範囲内で決められているのです。
桑名の場合ですと、四日市や鈴鹿、場所によっては愛知県の弥富の会社も商圏にしていることがあります。四日市や愛知県の会社で気になる会社があったら、すぐに諦めるのではなく、桑名まで施工エリアに入っているか確認してみましょう。
会社選び最初の1歩はモデルハウス?資料請求?
住宅会社との最初の接触には、ホームページから資料請求する、モデルハウスへ見学に行く、住宅会社主催の勉強会や相談会に参加する、といった方法があります。どの場合にも、一度行くと売り込みをされそうで不安……と思うかもしれません。もちろん、営業マンは営業をすることが仕事なのである程度の売り込みはしてくるでしょう。ただし、それがしつこかったり、実際に見た家そのものが気に入らなかったりするなら、ハッキリと断りましょう。
断るのが苦手という方も多いですが、住宅の場合は即決で依頼先を決める人はほとんどいません。ほとんどの人が何社も周り、その中で1社に絞るのです。つまり、住宅営業マンにとって、断られることは日常的にあること。売り込まれることや断ることを重く考えず、どんどん足を運んで下さい。
モデルハウスと完成見学会は別物
モデルハウスは、住宅会社が宣伝用に自社の精力を尽くして建てる家です。完成見学会は、その会社で建てたお客様の家を、入居前に一般公開するイベントです。桑名では、国道23号線と258号線がぶつかるあたりに、一番大きなハウジングセンターがありますが、ハウジングセンターや住宅展示場に建っているのは全てモデルハウスです。
また、ハウジングセンターは住宅会社が運営しているわけではなく、ハウジングセンターの運営会社に住宅会社が出展料を支払ってモデルハウスを建てています。折り込みチラシなどで目にしたことがあると思いますが、ハウジングセンターでは、よく○○レンジャーショーや大抽選会といったイベントが行われていて、それらの経費はすべて出店している住宅会社が運営費として負担しています。
つまり、ハウジングセンターに出展している会社は、広告宣伝費をたくさん支払える大手の会社ばかりということを覚えておいて下さい。なぜなら、家づくり最初の1歩としてハウジングセンターで相談したところ、「あなたの年収では無理ですね」と言われてしまい意気消沈。という人が少なくないからです。これは、財布の中身も見ずにいきなりブランドショップへ行ったけど買えなかった、と言っているようなものです。ほかにも選択肢はたくさんあるのに、そこで諦めたらもったいない!もし大手の会社で予算が合わないようでれば、地元ビルダーや工務店の完成見学会に出向いて下さい。そこには等身大の家や、あなたに合う家づくりをサポートしてくれる会社があるはずです。
概算プランと概算見積もりを依頼する
いくつかの住宅会社を回って話をしていると、ご家族の希望をもとにした家づくりプランを出してくれます。このプランをたたき台と考えて、理想の住まいを考えましょう。このとき、プラン通りにつくった場合にかかる費用を提示してくれる業者は安心できます。この段階でプランを確定するわけではありませんが、最終的にどの会社に依頼するかを検討する際の判断材料となります。
同じ要望を伝えても、会社や担当者によって違うプランを提示してくるでしょう。ちゃんと要望の意図をくみ取ってくれる会社もあれば、希望がなかなか伝わらない相手もいるからです。結局は、人と人との付き合いなので、相性のいい相手がいれば悪い相手もいます。注文住宅の場合、「まだ無い物」を担当者と一緒にゼロからつくり上げていくわけですから、家そのものだけでなく、担当者と相性が合うかどうかも会社選びの重要な要素です。
予算に関しても、予算内に収めてくれる会社があれば、もう少し頑張ってこんな家にしませんか?と言ってくる会社、予算そのものが適正かどうか一緒に計算をしてくれる会社など、対応は様々です。見学したすべての会社にプランや見積もりの作成を頼むと、会社を決める前に疲れて嫌になってしまうので、最終候補を数社まで絞れた段階で、プランニングをお願いしてみるのがおすすめです。
建築申し込みをして詳細プランを決定する
概算プラン作成までは無料でお願いできる業者が多いのですが、建築申し込みをしてからは一定のコストが発生します。申し込みするタイミングは「この会社に決めた!」とはっきり言える段階です。不安点を全てクリアにしたうえで、納得してから進みましょう。
建築申し込みをすると同時に、住宅ローン審査や国などへの申請手続きを進めるケースもあります。複雑な手続きは、全て業者がリードして行うため、不安に思う必要はありません。ただ、契約書やローンの申し込みなどの書類には必ず隅々まで目を通してください。どんなに業者がリードしてくれると言っても、権利を受けるのも責任を負うのも、最終的には判を押す施主です。
この後に、詳細プランの打ち合わせをして、最終的な仕様を確定させます。水廻りの設備や内装など重要なポイントはもちろん、コンセントの位置やスイッチの場所など細々したことも確認します。決めた内容を仕様書に落とし込み、図面にしたものを見ながら、最終確認をするのです。
この段階を過ぎてしまうと、図面変更ができないことが多いので、悩んでいるポイントがあれば正直に話しましょう。やり取りの中で少しでも不安に感じるところがあれば、一旦冷静になって本当に契約しても大丈夫かを考えたうえで決めて下さい。住宅会社側に悪意がなくても、施主が分かっているだろうと思い込んで説明不足になってしまうことがあります。分からないことは素直に分からないと伝え、納得がいくまで判は押さないでください。
新築住宅完成後に不具合に気付いたら?
どんなに確認作業を徹底していても、住み始めてからトラブルに気付くこともあります。工事は人の手で進めるものなので、業者のミスを完璧に防ぐことは簡単ではありません。ときには、依頼先の不手際が原因というケースもあるでしょう。
設計段階の認識違いが放置されていた結果、住み始めてから「これはちがう」と感じる箇所が出てくることが想定されます。そんなときは、住宅会社のアフターサービス窓口に相談しましょう。注文住宅は「つくって終わり」というものではなく、入居してからのサポート体制が整っているのが一般的です。まずは、契約時の担当者に連絡してください。ちょっとした不具合でも、どんどん傷口が広がると大規模な手直しが必要になるケースがあります。自己判断で放置しないで、早めに相談して直してもらうほうが安心です。
まとめ
注文住宅の場合には、たくさんの人が関わって共同作業で夢の実現を目指していく流れになります。ご家族だけで悩まずに、気軽に相談できるパートナーを探してみましょう。
育った環境が人のあり方や性格を左右するとも言われており、マイホームはお子様の成長を支える基盤とも考えられます。住まいづくりに真摯に取組み、信念を持って一緒に家づくりができる業者と出会えるよう、心より応援しています。