コラム
新築住宅購入は、誰もが憧れる幸せの象徴の一つ。思い切って購入に踏みきる際には、後悔のない選択をしたいものです。今回は、桑名市で新築住宅を検討している方に知ってほしい5つの基礎知識を紹介します。住まい作りは一生に何度もある経験ではないので、分からないことがたくさんあるのは当然です。正しい知識を踏まえて、幸せなマイホームを取得するためのプランを練りましょう!
①大学がない桑名市。子どもの進学先は?
まず、新築住宅を買うためには、立地や環境を選ばなくてはなりません。そのとき、今の生活を意識するだけでは不十分なので注意が必要です。今の家族のあり方と5年後、10年後の姿は変わっていくもの。将来的な利便性まで意識して選びましょう。
現在は、お子様が保育園や幼稚園に通っていても、数年経ったら小学校に進学するため、通学に便利な立地のほうが好ましいと考えられます。さらに、10年以上経って高校生や大学生になったらどうでしょう。桑名市には高校が5校(公立4校、私立1校)、大学はゼロです。多くの学生が公共交通機関を利用して通学します。バスや電車のアクセスが悪いと通学に不便です。
場所によって名古屋が通学圏内に
教育熱心な親御さんには、名古屋がギリギリ通学圏内なのもポイントでしょう。桑名駅から近鉄やJRを使えば名古屋まで20分程度なので、駅に近いエリアであれば高校生でも十分通学できます。また、大学生になると、通学できる距離か否かで、一人暮らしをさせるかどうかの選択をすることになります。実家住まいか一人暮らしかでは、子ども本人だけでなく家族の生活や家計にも大きく影響します。
土地は途中で変更できない
理想の子育てを実現するために、周囲にどんな施設があると便利か考えて、納得できる場所を選びましょう。全ての条件をクリアできなくても、総合的に判断して条件が良い土地を選ぶことは可能です。観光地というイメージが強い桑名市ですが、マンション建設が相次ぐ利便性の良い都市でもあります。
間取りや住宅機能などの不具合はリフォームで対処できますが、立地は変えられません。住み始めて不便さを感じても、どうにもならない問題と言えます。立地選びを間違えると、新築住宅づくりのスタートラインでつまずくようなものです。環境の重要度を理解したうえ、何をもっとも重視すれば良いのか、ご家族で相談しつつ決めましょう。
②ショッピングモールがあれば、未開拓地もある
建売物件を検討している方の場合は、新築住宅そのものを実際に確認して購入を決めます。だからといって、一度行って気に入ったから契約。というのはやや焦った判断でしょう。ぜひ、複数足を運んで検討しましょう。これは、土地選びにも言えることです。朝・昼・夜と異なる時間帯で物件を見ると、思わぬ難点が見えてくるケースがあります。たとえば、明るい昼間に見たときは日差しのある素敵な物件だと感じても、日が暮れてから現地に行ったら、街灯が少なかったというパターンがあります。夜の安全性は、夜に確認しないと分からないのです。
桑名駅から北西方面にある住宅地は、家並みがあるため昼間は拓けているように見えますが、古くからある町のため街灯整備がやや遅れているエリアもあります。また、国道1号線や3号線、28号線に近いエリアは、時間帯によっては騒音や渋滞が気になる人もいるでしょう。その人にとっては、穏やかな生活環境とは言えません。
マイカル桑名ができて間もない頃、ショッピングが大好きな私の知人がマイカル桑名から徒歩圏内に家を建てて夢のようだと言っていましたが、数ヶ月もすると毎週末の渋滞と人混みにうんざりしていました。(最近はそうでもないようですが……。)
時間帯のほかにも、大雨の日や風が強い日に見学に行くと、周辺環境や家の性能がよく分かります。庭から玄関までのアプローチに大きな水たまりができていたり、室内にいるのに風の音が気になったりしたら、考え直す必要があるでしょう。道路から少し下がっているような土地の場合、雨水対策は要チェックポイントです。
建売住宅を購入する際、予算内の価格帯で新築ピカピカの気に入った物件があれば即決したくなりますが、少し冷静になって下さい。周囲の環境は、自分たちの努力ではどうにもならない部分です。改善できない問題点に後から気付いても、泣き寝入りとなってしまいます。考えうるマイナスポイントを順番に検証していき、想像している理想の暮らしができそうかゆっくりと考えてみましょう。
③桑名の工務店や設計事務所
注文住宅を検討している場合には、工務店や設計事務所などの住宅会社を探します。桑名エリアだけでもたくさんの会社があり、ホームページを見ているだけだとどこが良いのか分かりません。桑名警察署の近くに大手ハウスメーカーが集まるハウジングセンターがありますが、大手なら安心と安易に決めてしまうと、思うような住まいを形にできないリスクがあります。
住まい作りのブログや評価サイトを見ていると、同じ会社でも随分評価が分かれます。デザインテイストが好みで素敵な家ができたと喜ぶお客さまがいる一方で、見積もりが不透明と酷評しているお客様もいます。賛否両論である理由は単純です。
人によって最適な会社は違う
よほどの悪質業者でない限り、一定レベルの基準を満たした住宅を提供してくれます。明らかな欠陥住宅を押し付けることはありません。お客様を騙そうとしたり意図的に心無い対応をする営業マンもいないでしょう。
それでもマイナス評価をされてしまうのは、業者とお客さまの相性が合わなかったと考えられます。つまり、上手にマッチングできなかったところに問題があるのです。どうやって相性の良い業者を探すのかは難しく、実際に複数の業者に声をかけて印象を確かめていくしかありません。家づくり素人である施主さんにとって、家の性能を見抜くことよりも、人として信用できるか、その人(会社)はこだわりをもって家づくりをしてくれるか、を見極めるほうが重要です。カタログ請求やモデルハウス見学で対応してくれたスタッフの様子、疑問点を質問したときの対応などから、自分に合う業者かどうか判断します。
桑名の場合は、古くからある地場工務店もあれば、フランチャイズなどを利用して一気に事業拡大しているビルダー、大手ハウスメーカーなどがバランス良く揃っています。また、戸建て率も高いので、友人や知人からの口コミも信用できる重要な情報源になります。
デザイン重視の設計事務所の場合、選択肢は多くありませんが、設計やデザインだけを県外の事務所に依頼し、工事を桑名の工務店などにしてもらう方法もあります。(個人的にあまりお勧めしませんが。その理由はまた別の機会で改めてお話ししたいと思います。)
社長の姿勢=会社の姿勢
従業員数10人以下の小さい工務店や設計事務所であれば、社長の姿勢が「会社そのものの姿勢」だったりします。少なくとも一度は社長が出てくるのが一般的なので、ぜひ社長にも会ってみて下さい。むしろ、社長が一度も顔を出さないような会社は、何かしら事情があるのかもしれません。もしくは、ただ単に社長が社員に仕事を丸投げしている統率のとれていない会社という可能性も考えられるでしょう。
相性が合わない会社は潔く切る
最初の対応は誠実に感じても、満足できる提案がなければ考え直すのが得策です。全国的に見ても比較的穏やかな性格と言われる三重県民の性格からか、一度付き合いのあった人に「あなたとはもう付き合わない」と言うのが苦手な人が多いです。しかし、無理して関わり続けてもお互いに良い結果は得られないので、新しい業者に声をかけて検討し直すといいでしょう。
何千万円もするような買い物を即決する人はなかなかいないので、住宅会社は見込み客に断られることには慣れています。むしろ、依頼するつもりがないのにプランの練り直しなどに時間をかけられるのは、住宅会社側にとってもうれしくありません。
断りにくいなと思ったら、ご自身のためではなく、その住宅会社のためを思って潔く断りの連絡をして下さい。一番良くないのは、連絡なく去っていくパターンです。気持ちは分かりますし、実際にそういう方は多いですが、家づくり以前に、人として誠意ある対応をすることはお互いに大切です。
④要望に優先順位をつけて検討する
一生に一度の買い物だからと欲張ってプランニングすると、住宅ローンの支払いが大変になります。最新性能のハイスペックキッチン、耐震構造、太陽光発電システムなど魅力的に感じるポイントはたくさんありますが、考えていた予算を超えてしまうなら内容を見直しましょう。
優先順位を決めるのが取捨選択の近道
マイホーム購入を考え始めた根底の理由であり、どうしても譲れない内容は、優先度が高い要望です。家族と意見交換をしながら、要望を取捨選択していきます。庭づくりにこだわる人がいれば、お風呂やキッチンを重視する人もいます。とにかく冬に温かい家に住みたいという人もいるでしょう。
優先順位決めは土地選びの段階から
少し順番が前後しますが、優先順位の検討には土地選びも含まれます。家自体は小さくてもいいので、愛犬のドッグランを作れるぐらい大きな庭が欲しいという方や、長島に住んで露天温泉風呂をつくりたいという方にお会いしたこともあります。
優先順位を付ける作業は、土地決定の前から始めて下さい。プラニングの自由度は注文住宅の魅力ですが、予算を度外視することはできません。せっかく新築するなら夢を全部叶えたいという気持ちは分かりますが、住宅ローンが家計を圧迫して、家を手放すことになってしまったら元も子もありません。
そして、よくある「30万円ぐらいの追加ならいいじゃん」といった金銭感覚の麻痺にも注意が必要です。普段の生活で30万円の買い物を即決する人はなかなかいませんが、単位が大きい新築の見積もりを見ていると、数十万円を「ぐらい」と錯覚してしまうことがあります。夢のマイホームを確実に手に入れるための工夫として、費用対効果の高い住まいづくりを意識しましょう。
⑤不安点を全てクリアにしてから話を進める
モデルハウスや現場の見学から始まり、基本プランづくり、見積り、契約手順に至るまでに、分からないことが多数でてくるはずです。ほとんどの人にとって、家を新築するのは始めての機会なので仕方ありません。しかし、疑問点を残したまま先のステップへと進めてしまうと、後のトラブルにつながります。
業者は時として、彼らにとっての当たり前を前提に話してしまうことがあります。しかし、プロでない施主には理解できない箇所もあるでしょう。こんなことを質問してもいいのか、こんなことを知らない自分は恥ずかしい……などと考えずに何でも相談してみて下さい。
特に追加費用や機能については悩ましい問題で、自分が希望していなくても業者の判断で話が進むケースがあります。"一般的には"などの言葉に惑わされず、ご自身の価値基準で判断しましょう。考えた結果、自分には不要なものと感じたら、迷わず「ノー」を言うのが正解です。まっとうな業者であれば、施主の意向を尊重します。
場合によっては、その追加をお勧めする理由をプロの視点でしっかり説明してくれるでしょう。一番避けたい状況は、分からないままに話が進み、取り返しがつかないところまでいたることです。変更したいと言い出しても、お互いに嫌な気持ちになるばかりか、余分な出費も増えていきます。
分からないことを質問するのは消費者として当たり前の権利ですが、新築住宅のように大きな買い物になると原則を見失いがちです。雰囲気に流されて後悔する結果とならないように、各工程での認識共有を徹底しましょう。
まとめ
大型ショッピングセンターやレジャースポットがたくさんある桑名は、三重県で人気のあるエリアの一つです。生活がしやすいため、新築マイホームの夢を実現するにはお勧めの場所と言えるでしょう。難点を挙げるとすれば、名古屋や四日市への交通の便が良いため、土地の競争率が高く地価も高めな点です。そのため、土地購入費と建物新築費のバランスを慎重に検討しなくてはいけません。今回お伝えしたポイントが、夢のマイホーム実現のお役に立てれば幸いです。