コラム
桑名市での家づくりを考える
僕の事務所は、伊賀にあるのですが、お陰さまで三重県内のあらゆるところで家を建てさせていただいています。家づくりは天職だと思いながら仕事をする毎日で、楽しみながら家づくりをさせていただいています。
今回は、桑名市でマイホームを検討している方のために、一戸建て購入までの基本的な流れと注意点を紹介します。皆さんもよくご存じのように、一戸建ては大きな買い物なので、絶対に失敗してはいけません。絶対失敗しないために、守ってほしい注意点を順番に書いていくので、確実に把握したうえで、夢の一戸建て購入を目指して下さい。ただし、家づくりのプロセスは1つではありません。この順番でないと失敗してしまうということではないので気楽に読んでもらえればと思います。
桑名で家を建てようと思ったら、まずすること
別に桑名に限った話ではありません。三重のどこでも、あるいは日本中どこでも、家を建てようかなと思ったら、まずすることがあります。それは何か?といえば、簡単にいえば、お金に関してしっかりと知識を得て、どれだけの予算を家づくりに投資するのかを決めることです。
いきなり住宅展示場に行ってしまうと、夢ばかり広がり、実際に建てられる家と憧れの家に大きなギャップを感じるかもしれません。理想と現実の差にガッカリすることのないように、お金に関してしっかり確認して下さい。お金について気をつける点は2つあります。
- 住宅ローンの総予算を決める
住宅ローンで安心して借りられる、またはしっかり返していける総予算を決めましょう。そして、頭金や諸経費などどれだけの現金が必要なのかをしっかり確かめて下さい。
「アパートの家賃に対して後いくら住宅ローンが増えても良い」というように現状から考えるタイプのほか、生活に必要な資金や保険、教育費などを積み上げて、手取りとの比較で予算を決めるタイプもあります。いずれにしても、どれだけの期間、どんな金利で月にいくら返すかが決まると自ずと借りられる住宅ローンの総額が決まります。
例えば、35年借りて、金利0.75%、月々の返済額が\65,000だとすると、2,400万円借りられます。これらの条件を変えた場合の金額は、お手持ちのスマートフォンで住宅ローンの無料計算ソフトをダウンロードすれば計算できます。
- 土地と建物のバランスを考える
住宅ローンで借りられる資金に自己資金を加えることで、住宅に使える総予算をあらかじめ決めることができます。しかし、ここで注意が必要です。なぜなら、土地と建物のバランスを考える必要があるからです。
たとえば、ご夫婦とお子様が2人の4人家族の場合、最低でも3LDK、できれば4LDKが欲しいところです。その場合、建物としては100平方メートル以下では少し狭いでしょう。できれば120平方メートル程度を家のスペースに確保したいところです。坪数に直すと延床面積で36.5坪ぐらいでしょうか。
三重県の住宅会社の坪あたりの相場は、坪45~80万円ぐらいと幅があるので、建物の総価格は、1,650~2,900万円と金額にばらつきがでてくるでしょう。私はもっと高額な家を建てたこともありますが、その場合は家がかなり大きくなることが多いです。
桑名市の場合は、JRと近鉄の桑名駅の周辺が比較的高額です。坪単価で50万円以上するエリアもあります。また、星見ヶ丘、大山田団地、陽だまりの丘といった人気の団地エリアなども比較的土地が高いエリアです。ここの相場は、坪30~80万円といったところでしょうか。
それ以外の少し便利が悪いエリアではまだまだ安い土地がありますが、三重交通のバス路線やJR、近鉄のほかに養老鉄道線、北勢線などの駅に近いところは比較的高価です。
一方、桑名駅の南側の城南や飛び地である長島など土地の高さが低いところは、東日本大震災の後には、津波や浸水などの危険があるということで、価格が下がったエリアに数えられます。これらの土地は比較的安価ですが、南海トラフ地震、東海地震などがいずれ来ると予測されており、大きな震災が起こると住宅が浸水する可能性があります。詳しくは、桑名市役所のホームページに記載されているハザードマップを参考にしてください。
そのため、36.5坪の2階建て住宅が収まって車が2台程度が置けるサイズの50坪前後の土地を買う場合、桑名市内でも希望するエリアによって坪5万円から100万円ぐらいまで差があります。このとき、土地の価格だけで250~5,000万円の費用が必要になります。
つまり、一番安い土地に一番安い住宅を建てると2,000万円を下回る金額で家を建てることが可能ですし、土地が高い場合には8,000万円近くもの金額を家のために支払う可能性もあるというわけです。
過去の経験から、桑名市で新築の住宅を建てる場合には、土地代金と諸経費を含めて2,200~3,500万円の間の総予算で住宅建築をされる方が多いようです。また、土地は坪15万円前後の方が多いようです。
桑名での理想の一戸建てのイメージを固めること
次は、家族の理想とする住まいの形を具体化するプロセスです。家族で家に関する意見を出し合うといいでしょう。このとき、桑名市のどのあたりに住まいを構えて、どのように生活していきたいかの詳細を書き出してみましょう。できれば、ご夫婦別々にそれぞれの思いを書くと良いと思います。そして、それをしっかり話し合って、どちらの希望を優先するのかなどを決めていきましょう。お子様やご両親が同居される場合は、皆さんのご意見を一応なりとも聞く場を設けるべきだと思います。
家づくりでの後悔や失敗は、家族の希望が曖昧なまま住宅会社を決めて発注してしまうケースによく見られます。2~30年間は住む家なのでしっかりと話し合いをするのがおすすめです。
具体的なイメージを固めるためには、オープンハウスや見学会、住まいのフェアなどに積極的に出かけるといいでしょう。実際に他のご家族が使う予定の家や住宅会社のモデルルーム、住宅展示場を見ながら、どれくらいの広さがいいのか、必要な設備は何か考えてみるのです。住まい作りは家族で楽しむ気持ちをもって取り組んでいただく必要があります。必ずご家族全員の要望を書き出して、家族全員の要望をまとめたリストを作りましょう。
たとえば、
・近くに公園があって、友達と一緒に遊びたい
・ショッピングセンターに近すぎると、周りが渋滞になるので避けたい
・ガーデニングや家庭菜園を楽しめる庭がほしい
・現在のアパートでは兄弟と同じ部屋だけど、一人ずつ別の部屋にする
・祖父や祖母と一緒に暮らしたいので、二世帯住宅も検討する
・ウォークインクローゼットを作って、使わないものをすっきり収納
それぞれの想いがぶつかる箇所も出てきますが、しっかり話し合って優先順位を決めていきましょう。そして、最低何番目までは現実にしたいと言う思いを全員が共通認識として持つようにして下さい。このとき、とにかく全部の要望をリスト化しておきます。依頼する住宅会社によって要望を実現する費用が違うので、この時点では優先順位をつけるまでにしておきましょう。
家づくりを始めていくと、住宅会社との話し合いの中で、予算との兼ね合いを考慮して「これは止めよう」ということになる場合があります。リストに載っている希望の全てを叶えることはできなくても、プロが代替案を考えてくれる場合もあります。また、予算に問題がなく、家族全員の夢が詰まった理想のマイホームプランになる場合も当然ですが存在します。
桑名で建てる理想の家のはどんな家か?
新築の一戸建てを購入することが目的の場合は、建売住宅もしくは注文住宅の2種類を検討できます。そのほか、中古住宅をリフォームするという考えもありますが、今回は新築に絞って書いていきます。中古住宅については、別の記事を書いていますのでそちらを併せてご覧ください。
建売住宅と注文住宅のどちらの家が良いのか?それぞれのメリットとデメリットを比較してみましょう。
建売住宅は、土地と一戸建てがセットになって売られている物件。既製品を購入するというイメージに近いです。すでに建物がある状態を見学できるので具体的にイメージしやすく、買った後の「こんなはずではなかった」を予防できます。日当りや各部屋からの景色も見学時に分かるので、理想に近い一戸建てが見つかると安心できます。ただし、間取りの自由度やデザイン性はほとんどないので、間取りを自由に考えたい方は注文住宅を選ぶと良いでしょう。
また、建売住宅の変形版として、売建住宅という形態があります。これはお客様が決まってから建築を始めるのですが、既に『確認申請』をとっているものをいいます。住宅の建築には、宅地であれば都道府県からの建築許可が必要です。この許可を取るために、『建築確認申請』という図面と書面を役所に申請することを『確認申請』といいます。
一部の建売住宅や売建住宅では、壁紙や外装カラーを選択することが可能です。しかし、建売住宅も売建住宅も根本的なデザイン変更はできません。既に建築が済んでいる住宅の場合は、内部構造を確かめることもできないため、構造上の問題に気づきにくいのが難点です。ただし、最近は途中に4~10回に及ぶ第三者による検査がありますので、そのときの写真や報告書を見ると建築途中の状況がわかるようにある程度記録されています。
一方、注文住宅は土地と建物を別々に契約して、一から住まいを作っていきます。いわばオーダーメイドです。もちろん決めることや選ぶものが多く、住宅会社との話し合いも必要になるため、時間はかかってしまいますが、夢のマイホーム実現に向けて自分たちでいろいろ決めたい、こだわり派のご家族には適しています。
事前に十分な話し合いができれば、将来的な家族構成の変化にもきちんと対応してもらえます。子どもがもう一人増えるかも、介護が必要になるかも、など長い目で見た不安に答えてくれます。ライフスタイルを考慮して間取りを変更できる設計にすれば、いろんな状況にある程度対応が可能です。せっかく建てた住まいを大切に、何十年も住み続けたいと考える方にメリットが大きい建て方といえるでしょう。
土地と建物を別々の業者で探す場合は、やや手間がかかる印象がありますが、多くの工務店・住宅業者は土地探しから一貫してお手伝いしてくれます。予算面において、仕様によっては建売住宅と遜色ないレベルの価格帯で探すことが可能。高級住宅や高性能住宅も建築できるのでバリエーションが豊富です。
メリット・デメリットを考慮しつつ、譲れるところと譲れないところを明確に分けてどちらにするか決めていきます。一戸建て購入の最初の関門ともいえる部分なので、ご家族でよく話し合って決めて下さい。
住宅会社を決定して、建築契約
建売住宅の場合、会社よりも物件との相性(場所や、広さ、間取りなど)が大切なので、希望の物件が見つかるまで、数をある程度見た方が最終的に適切な選択ができます。そのうえで、売買契約を結ぶという運びになります。
注文住宅の場合は、いくつかの会社の中から目星をつけた段階で実際に建てた家やモデルハウスなどを比較検討して、3社以内(できれば2社以内)に絞り込んだほうが良いでしょう。比較する会社は、少し遠くても良いので、多めに探して気になるところをピックアップして下さい。最近は、インターネットで10社以上比較検討して、最終的に物件を見に行くのは、5~7社が多いとのことです。最低でも3社の以上の実際に建てた物件やモデルハウスは見るようにしましょう。
絞り込んだ後は、どの会社にも基本的な予算の部分やプランの部分を話さないといけません。同じ話を5社も6社にも伝えるのは本当に骨が折れる作業なので、営業マンの話を聞いたりしながらごく少数に絞り込むのが良いと思います。
絞り込んだ後は、資金計画の確認を行い、プランニングを経て見積りを出してもらいます。このときに、プランニング力、設計力と実際のコスト、接客などを比較検討をして意中の1社を決めることになります。
家を建てている立場からいえば、このときが一番緊張します。お客様に選んでいただけるかどうかというのは、長い間住宅に携わっているものとしては、本当に気が揉めます。しかし、お客様にとって、住む家というのは20年、30年と暮らしいくものですから、結婚相手を選ぶように慎重に選んでいただければと思います。ちょっとでも疑問点や問題点があれば、そのままにせず納得がいくまで話をするべきです。
見積とプランニングに問題がなければ、請負契約へと進みます。2社、3社と比較する場合は他社と比較したい旨を伝え、会社ごとの優位性を見ていきます。テイストはA社のほうが好みだが予算にあうのはB社など迷いどころがでてきたら、担当者や社長への直接交渉も一案です。単に「安くしてほしい」、「値引きをして欲しい」というだけではなかなか話が進まないので、考えていた予算とのギャップを提示して可能な方法を相談しましょう。お客さま本位で考えてくれる住宅会社の場合は、優先度の低い設備を削ったり内装をシンプルなものに入れ替えたりして、予算にあわせた再見積りをお願いできます。最終的にひとつの業者に絞って、請負契約を済ませて下さい。
請負契約をした後に、詳細設計図や仕様書の提示があり、最終的なプラニングを固めます。ここまで来ると「これで行きましょう」と相互が合意したことになり、建築確認申請後には大幅な設計変更はできなくなります。迷うポイントや理解できないところなどがあれば契約前に相談して、納得のうえ進みましょう。建売を買う場合は、請負契約の代わりに購入申し込みして下さい。申し込みを持って「この一戸建てを買う」という意思表示となり、相互の合意のうえで先のステップへと進みます。
住宅ローンの申込み
桑名で家を建てる方の中には、現金一括で購入するご家族はほとんどいらっしゃいません。必要額がはっきりした段階で住宅ローンを申し込みます。住宅ローンは、毎月の出費や返済負担を考慮して、無理がないマネープランニングを徹底して下さい。
当社もそうですが、一般的には住宅会社が住宅ローンのサポートを行います。しかし、極まれにサポートしないことがポリシーの住宅会社があります。その場合は、お客様が独自に金融機関に行って手続きを進める必要があります。ただ、そのような会社はほとんどありません。ですので、住宅会社を決めてから住宅ローンを進めたほうが良いと思います。
どの会社で家を建てるのか決まっていない状態で、金融機関に相談に行くことは避けて下さい。実際に家を建てる場合は、土地の決済や建物の価格以外にさまざまな出費が伴います。住宅会社を決めてから、検知に関わるすべての費用を算出し、手持ち資金と比較をしたうえでローンを申し込んでいただければと思います。
ということで、住宅ローンに関して、よく分からない場合には、第一に住宅会社に相談して下さい。家や土地を購入するのは初めてのお客様がほとんどなので、営業担当者がわかりやすく説明してくれるはずです。建売を購入する場合も、注文住宅の場合も住宅ローンの事前審査結果を待って契約書をかわし、正式な手続きを進めます。事前審査が、通過しないとすべての契約が前に進めません。ですので、住宅ローンが通らない場合は、土地の購入や建築契約も結べません。
ここまでが基本的な流れですが、会社によって細かな違いがでてくるケースがあります。見積もり・プランニング・契約のタイミングは各社対応が異なる部分なので、ホームページなどで流れを確認のうえ、営業担当者にも必ず確認をして下さい。
一度契約してしまうと、契約を破棄することは原則不可能です。お客様のからの申し出て契約を破棄する場合は違約金を請求されるケースがあります。住宅会社にとっては、設計やその他で、実費がかかっている場合もありますので致し方ないところです。新築一戸建ての購入は何度もある経験ではないので、随所で分からないことが出てくるのは当然です。聞くことを恥ずかしいとは思わずに、詳細を確認しながら慎重に進めましょう。
桑名では、三重県内の百五銀行、三重銀行、桑名信用金庫などの金融機関だけはなく、全国対応の金融機関であるJAバンク、労金、大手都銀、フラット35対応の金融機関なども住宅ローンの検討が可能です。金利だけではなく、サービスや条件など、総支払額で検討していただければと思います。これらも住宅会社としっかりと相談して下さい。
まとめ
いかがだったでしょうか。文章だけを読んでいるとどうも難しく感じますが、順を追って処理していけば大丈夫です。まずは、予算枠をしっかり決めて、信頼できる住宅会社をパートナーとして選んでいただければと思います。筆者である私も、住宅ローンについては詳しいので、何でも聞いてください。決して売り込みにならないように相談に乗りたいと思います(笑)。
ご自分がこれから住む家を準備することを考えると、一つ一つの行程が、ワクワクする楽しい家族の想い出になります。一戸建てを建てるという大きなライフイベントを楽しむ気持ちで取り組むと、苦労も苦労ではなくなってきます。桑名市で、家族全員が納得できる素敵な住まいが見つかるよう、前向きな家づくり計画を作ってみてはいかがでしょうか。