コラム
三重県内で夢のマイホームを検討しているご家族に知っていただきたい、住まいのお得な買い方と気をつけてほしい落とし穴を紹介します。マイホームは人生で最もお金がかかる買いものと言われていて、スーパーでの買い物のように交換・返品ができません。マイホームについての正しい知識を身に付けて、後悔しない選択をしてください。
今買う派と頭金を貯めてから買う派、どちらがお得?
マイホームを購入するなら頭金は多いに越したことない!そう信じている方は多いですし、実際にその通りだと断言できます。しかし、それはあくまで、仮にA家とB家という2つの家族がいて、"今"、''同時に"マイホームを取得するなら、頭金が多いほうが良い、というだけの話です。
そもそもなぜマイホームに頭金が必要なのか
ー昔前は、マイホームを建てるなら全体の費用の2割から3割は頭金が必要と言われていました。今でもそう言う人は多くいます。2割から3割の根拠は2つあるとされています。
一つは、以前は今より住宅ローンの借入限度額が低かったことです。住宅金融公庫などが、購入金額の8割まで、という一定のラインを設けていたので必然的に残りの2割は頭金が必要だったのです。しかし、今では購入金額全額を借り入れできるローンも多いので、頭金2割は“絶対必要”ではなくなりました。
もう一つの根拠は、マイホームの中でも戸建て住宅の場合、建物価格の2割から3割は住宅会社の利益であり、物件の価値ではないという点です。たとえば総額2,000万円で建てた家なら、そのうちの400~600万円は住宅会社の利益分で、実際の建物の価値は1,400~1,600万円だということです。
このことが関係してくるのは、あなたが家を売るとき、つまり、住宅ローンを支払えなくなってマイホームを手放すときです。引き渡しの時点ですでに家の資産価値が7~8割しかないのに、10割の住宅ローンを組んでいては売ってもマイナスになってしまう、そうならないために2~3割は頭金で支払いましようという理屈です。とはいえ、これはマイホームを手放すときの話です。そもそも住宅ローンの支払いに困らないように資金計画をすれば、これも関係のない話といえるでしょう。
「頭金をいくら貯めればマイホームを建てられるのか」ではなく
「マイホームを建てるには頭金がいくら必要なのか」を考える
「頭金をいくら貯めればマイホームを建てられるのか」ではなく、「マイホームを建てるには頭金がいくら必要なのか」を考える。言葉遊びのようでややこしいですが、この2つは全く別の話です。
先ほど、「頭金2割~3割」に縛られる必要はないということをお伝えしました。でも、だからといって貯金ゼロでマイホームを購入できるかと言うとそうではあリません。家を買う場合には、少なからず現金が必要になリます。ロ一ンには組み込めない諸経費の支払いや、ローンを組むために金融機関に支払う手数料などがあるからです。その値段はいくらなのかは、あなたが購入したい家と、あなたが組みたいローンによって決まります。
「家を建てるには頭金がいくら必要か」を計算する方法
- STEP1 土地の相場を調べて、欲しい土地を買うにはいくらかかるのか検討をつける
- STEP2 建てたい家の規模や住宅会社をもとにいくらぐらいで建てられるのか調べる
- STEP3 諸経費として土地代+建物代の15 %の金額を計算する
- STEP4 土地代+建物代+諸経費を足して総額を出す
- STEP5 家計状況から、毎月口一ンを支払える金額を算出する
- STEP6 毎月の返済額と、おおよその金利から、借り入れ可能額を計算する
STEP3で計算した諸経費分の現金があり、STEP6で計算した借り入れ可能額にSTEP4の総額が収まっていていれば、これ以上頭金を貯める必要はありません。一方、総額が借り入れ可能額を超えている場合は、土地や建物の条件を変えて総額を減らすか、頭金を貯めて住宅ローンの借り入れ可能額を上げる必要があるでしょう。
勘違いしやすいのですが、「頭金を増やして借り入れ可能額を上げる=返済負担が増える」というわけではありません。STEP5で算出した毎月の返済額はあくまで固定して考えます。頭金を増やして借り入れ可能額を上げるというのは、頭金が多い分、低い金利の住宅ローンを組めて、かつ借り入れる元本が減るので金利負担も少なくなる、 ということです。ややこしいので、あえて簡単に言ってしまうと、頭金があるほうがお得な住宅ローンを組める、ということです。いくらの金利のローンを組むには頭金がいくら必要なのか、それは計算をすればすぐに出ますので、ファイナンシャルプランナーの無料相談などを利用して計算してもらいましよう。
頭金は多ければ多いほどお得! ?
「頭金が多いほうがお得なローンが組める」と聞くと、できる限リ頭金をたくさん貯めてからマイホームを購入しよう!と考える方がいますが、これは要注意です。頭金は少なすぎても多すぎても損をすることになるからです。今までのステップで計算した頭金があなたにとって必要な金額であり、それ以上をむやみに貯めることはリスクを伴います。
頭金を貯めてから家を建てるAさんと、今すぐ家を建てるBさんの比較
ともに注文住宅でマイホーム取得を検討しているAさんとBさんがいるとします。二人が平均寿命の79歳まで生きるとして、居住費を比較シミュレーションをしてみましよう。比較しやすいように2人の条件を揃えて、金利や物価の変動はないものとして計算します。また、賃貸住宅の条件は三重県の平均的なファミリー物件の賃料7万円を基準にします。
- 5年貯金してから家を建てると決めたAさん (32歳)
マイホームは欲しいけど、できる限り月々の返済を楽にしたいので頭金を十分に貯めてからロ一ンを組むことにしたAさん。 5年間毎月3万円ずつ貯めれば、5年間で貯蓄できる額は 3万円×12か月×5年間=180万円
ただし、頭金を貯める5年間Aさんはマンションに暮らしているので、家賃7万円プラス駐車場代3千円で、貯蓄期間5年にかかる居住費は、 7万3千円×12か月×5年間=438万円 ―①
5年後37歳で、土地代と建物代合わせて2,500万円の家を建てることにしたAさん。 頭金180万円があるので、住宅ローンの借り入れは、 2,500万円-180万円=2,320万円
フラット35(金利1.3 %)で35年固定ローンを組むと毎月の支払い額は、68,788円(*金利早見表より算出) 35年間で支払う返済総額は、 68,788×12か月×35年=約2889万円 ―②>
また、定期的にメンテナンス費用がかかるので、5年に1度、50万円の費用がかかるとして、 79歳までの42年間にかかるメンテナンス費用は、 50万円×(79ー37)年÷5年=420万円 ―③
①、②、③を足して、Aさんが支払う総額は、 438万円+約2889万円+420万円=3747万円 —Aさん総額
- 今すぐ家を買うことに決めた B さん(32歳)
諸費用分だけの現金で、今すぐ家を建てることにしたBさん。 フラット35 (金利1.3 %)で35年固定ローンを組むと、毎月の支払い額は、74,125円(*金利早見表から算出)
35年間で完済する場合の総支払い額は、 74,125円×12か月×35年=約3113万円 ―④
Aさんと同じように5年に1度メンテナンス費用が50万円かかる計算をすると、 50万円×(47÷5)回=475万円 ―⑤
④と⑤を足すと、Bさんが生涯支払う居住費は、 約3113万円+475万円=約3588万円 ―Bさん総額
この単純比較だと、今すぐマイホーム購入に踏み切ったBさんのほうが150万円もお得ということになります。
シミュレーションの条件によって結果は異なる
今回のシミュレーションでは条件をそろえて計算をしていますが、実際には、頭金が多いほど安い金利のローンを組めたり、頭金を貯めていた分ローン完済時の年齢が高くなるので、ローンの審査が通りにくくなったり……ということが起こります。
ほかにも、たとえばマンションの家賃がもっと高かったり安かったリしたら、購入する家や土地の値段が違ったら、などの条件によって計算結果は異なってきます。そのため、必ずしも今すぐマイホームを購入するほうがお得!ということではありません。
ただし、今回の計算のように頭金を貯めている間の居住費やローン完済年齢などを考慮すると、むやみに頭金を貯めることに時間を使いすぎるのは危険です。一番早いのは、今のご自身の設定でシミュレーションをしてみて下さい。計算が苦手!という方は、インターネット上でローン返済シミュレーションをしてくれるサイトや、ファイナンシャルプランナーの無料相談などを活用しましよう。
分譲戸建て住宅と注文住宅なら、どちらがお得?
マイホームを購入すると決めたら、分譲戸建て住宅、注文住宅、マンション、中古住宅などの家の種類を選択しなければなりません。今回は、新築戸建てに絞り、分譲戸建て住宅と注文住宅の比較をしてみたいと思います。
分譲戸建てとは、建て売りとも呼ばれる建て方で、完成した物件を見てから買えるメリットがあります。土地と住居をセットで買うので、土地を所有していない方にとっては、予算に関する不安が軽減されます。予算の範囲内で気に入った物件を選ぶだけなので、具体的なイメージがつきやすいのも魅力です。単純にコストを比較した場合、分譲戸建てに軍配があがるでしょう。しかし、間取りやデザインの自由度は、注文住宅のほうが高いといえます。分譲戸建ての場合、立地が決められていることもあり、総合的な暮らしやすさは、やや妥協が必要になってきます。
注文住宅の場合はプランニングから施工、引き渡しまでに一定の時間がかかりますが、希望を形にした住まいをつくりやすい建て方です。予算を決めて相談するとコスト面での不安は解消されるので、過剰な心配はいりません。どちらがよりと一概に言い切ることはできないので、両者を選択肢に入れたうえ、家族の希望をふまえたマイホーム選びをして下さい。
注文住宅の予算オーバーを防ぐには
ハウスメーカーやビルダー、または工務店に依頼して注文住宅を建てる場合、予算オーバーにはご注意を。総予算をあらかじめ決めて明確に業者に伝えることが非常に重要です。その際、家そのものの予算だけでなく、設備周りの費用や税金、手数料、引っ越し代など、マイホーム取得にかかる全ての費用の合計額の上限を伝えましょう。予算オーバーを招きやすい要因としては、下記3つがあげられます。
1.見積もり後に発生するコスト
完全注文住宅の場合、契約後に間取りやエクステリアの詳細を詰めていきます。見積もりに入っていない追加の費用が発生すると思ったより高額の請求となり、予算オーバーを招きます。印紙代や保険料など付随費用に関する出費も軽視できず、余裕をもった予算組を進める必要があります。
三重県にも良心的なビルダーや工務店はたくさんあり、見積もりにあらゆるコストを全て含めて提示してくれる会社もあります。総コストでかかるお金が把握できると、追加費用の心配がありません。見積もりにどんな費用が含まれているのか分からなければ担当者に確認し、懸念点をクリアにしたうえで契約しましょう。
2. 必要以上に設備充実を求めてしまう
マイホームの購入を一生に一度の買い物と意識するあまり、必要以上の設備まで盛り込んでしまうケースがあります。たとえば、キッチンに造り付けの食洗機を付けるのが流行っていて、便利そうだと、十数万円もする設備をポンと即決してしまう人がいます。実際には使ったこともなく、本当に必要だと思っていなくてもです。
ガーデニングをする時間的ゆとりがないのに植木やスペースにこだわって、庭づくりのコストがかさむケースもあります。最近のトレンド設備に関して言えば、ホームシアターや電動シャッター、浴室乾燥機など、必ずしも全ての家庭に必要とは限らないものを、「あったら便利だろう」と夢見て追加してしまう人がいるのです。譲れない部分にはこだわって、妥協するところを思い切って削るとコストが大幅に変わるので、後悔しない資金の振り分けを検討しましょう。
3. 内装へのこだわりが強過ぎる
目につく部分のデザインにこだわりを持つご家族も多く、内装費用がネックになって予算オーバーするケースがあります。全ての部屋の内装をデザイン性重視で選んでしまうと、お金がいくらあってもたりません。最近では低価格でも品質の高い内装材がたくさん出ています。目につきにくい部分は量産の壁材や比較的安価な床材を活用すれば、ややコストが下がります。住宅ローンの目処がつき、資金的余裕がでたときに自分の好きな内装へ変えていく方法も可能です。新築時に完璧な仕上がりを求めず、妥協できるポイントを考えてみましょう。
今回は、マイホームの夢をお得に叶えるために知っておきたい内容を見てきました。考えることがたくさんあって大変ですが、夢を実現するための楽しい考えごととも言えるでしょう。マイホーム取得は、家族の未来やそれぞれの願望について話し合う良いきっかけになります。あなたの夢が実現し、心地良い住まいが見つかるように、心から応援しています。