コラム
せっかくマイホームを建てるなら、いい家をお得に建てたい。そんな人のお役に立てればと、今回は家を買うときの注意ポイントを紹介します。なかには、数百万円も得をしたという人もいたので、ぜひチェックしてください。
1)複数の住宅会社や工務店で見積もりをとる
いざ、マイホームが欲しい!と思ったとき、住宅展示場に足を運ぶ人は多いと思います。注文住宅を計画するのが初めてな人もいるでしょう。なので、住宅会社と話をするのに緊張したり、分からないことだらけで疲れてしまったりして、話をすることが面倒になる場合があります。
しかし、だからといって最初に訪れた1社目だけで判断するのはオススメしません。時間も体力も使いますが、日を改めてでも複数の住宅会社や工務店に足を運び、見積もりをもらいましょう。
1社としか打ち合わせをしないと、営業マンに勧められるままにことが進み、気づいたら大幅な予算オーバーで契約していた。なんてことにも繋がります。でも、複数の見積もりを照らし合わせると、ちょっと冷静に考えることができるんです。
複数の見積もりをもらうと、それぞれ比較することができます。すると、家の費用についての理解が深まったり、見積もりを見る目が養われたり、家づくりの経験値がアップしていきます。見積もりを作成するのは、家づくりのプロです。プロがつくった見積書は家をつくるうえで、参考になるはずです。
悪質な会社を見極められる可能性も
複数の会社を比べることで、悪質な会社を見極められることもあります。最近は、厳しい取り締まりのため悪質な会社が減りましたが、1社しか見積もりをとらず、たまたまその会社が悪質な会社だったら、「悪質」なことに気づかないまま契約してしまうことになります。その結果、ローン地獄に陥ってしまうことがあるので、一生に関わる問題です。
なかには、複数の会社の見積もりの金額差が700万円もあるケースがあったそうです。この人の場合、最初の会社の見積もりだけで契約していたら、700万円も損していた可能性があり、「複数見積もりをとってよかった」とおっしゃっていました。手間はかかりますが、後悔のない家づくりのために、住宅会社や工務店を巡ってみてくださいね。
2)注文住宅の建築費を節約する
次の注意ポイントは、建築費です。注文住宅は、ご家庭ごとに間取りや設備を決めることができます。間取りや設備の選択ができるのは大きなメリットでしょう。もう少し建築費を抑えたいと思ったときには、削れるところを削る方向でプランニングしてみてください。建築費を節約する方法はたくさんありますが、今回はいくつかピックアップして紹介します。
a)2階建てを建てるなら「総二階」
一般的に、建物は複雑な形よりも単純な形のほうが安く建てられます。なので、2階建ての家を建てるなら、1階と2階の床面積がほぼ同じで、四角い箱の形をした「総二階」がオススメです。無駄な凹凸がないため、少ない材料で作られます。
凹凸があるとそれだけ外壁の数も増えます。住宅会社によって異なりますが、1つ角が増えるだけで10万円~20万円を追加されることがあるので、コストカットしたいならシンプルな構造を目指しましょう。
b)トイレは1つにして30万円を節約!
2階建て住宅の場合、1階と2階の両方にトイレを設けるのが一般的です。ただ、トイレは1箇所あたり最低30万円程度が必要になります。つまり、2つの予定を1つにするだけで、設備費、工事費が節約できるのです。また、お金だけでなくトイレ1個分の面積も節約できます。
ただ、どうしても2箇所必要な場合や、2世帯住宅などの場合は、トイレが2箇所あったほうが使い勝手がいいので、ライフスタイルに合わせてよく考えてみてください。
c)仕上げ材は1㎡あたり600〜800円の量産品を使う
壁クロスなど、オシャレにこだわりたい人もいるかもしれません。でも、ここで「量産品」を使うとコストカットができます。量産品とは、大量生産されたリーズナブルな製品のことです。色や柄がシンプルなデザインが多いですが、そのぶん汎用性が高いのが特徴です。
壁クロスの場合、量産品なら600円〜800円(1㎡あたり)という比較的安価なものがあります。最近では、量産品の種類が増え、ペイント風などいろんなデザインのクロスが作られるようになりました。
また、左官壁にしたい箇所に左官風クロスを活用するのも手段のひとつ。左官風クロスは塗り壁のような風合いで、見た目も手触りも左官壁のように感じられます。1, 000円前後(1㎡)のものもあり、雰囲気重視だけど節約したい人にピッタリです。
d)わらを使わない建材畳床(縁つき畳)なら、1畳1万円前後で購入できる
和室をつくりたいと考えるなら、畳の金額もチェックしてみましょう。昔ながらの稲わら100%のわら床の畳は、1畳何万円もする高級品です。でも、わらを使わない建材畳床(縁つき畳)なら、1畳1万円前後で購入が可能です。昔ながらの稲わらの畳は、材料にお金がかかってしまうのですが、わらを使わない畳を選べば節約できます。
e)思い出づくりと節約に「DIY」
「DIY」とは、自分で何かをつくったり、修繕したりすることです。ものづくりが得意なら家族でDIYすることでコストカットができます。家族でDIYをすれば、節約だけでなく思い出づくりもできて、家に愛着をもつことができます。
ただ、やはりプロがやるのとは品質に差がでますし、作業時間がかかることが考えられます。よっぽど自信があればいいのですが、少しでも不安があるならプロに任せる選択をしましょう。注文住宅や工務店の人なら、スムーズ且つ美しく仕上げてくれますよ。
3)「施主支給」で節約できる?
「施主支給」という言葉をご存じでしょうか?お施主様ご自身で設備機器などを直接購入して、住宅会社や工務店に持ち込むことです。施主支給なら、お気に入りの設備を使えたり、直接自分で設備を購入するので中間マージンを節約できたりするなどのメリットがあります。場合によっては数十万円レベルで得することもあります。でも、「施主支給すれば得をする!」と気軽にチャレンジするのは危険です。実は、施主支給にはデメリットもあるんです。
施主支給のデメリット
想像以上に労力がかかることは覚悟が必要です。施主支給の場合、自分で商品を調べ、その商品が寸法などの条件を満たすのかを確認しなければなりません。その商品が適しているのか、品質などを見極めるのは思いのほか難しいことです。
また、対応窓口が施工してくれる住宅会社ではないので、商品の購入先と住宅会社の両方で打ち合わせすることになります。商品仕様の確認から、手配するスケジュールの調整など、両社に間違いなく伝えるのは神経を使う作業もしなければなりません。
しかも、それだけ神経を使って準備をしても、不備が起こるケースは少なくありません。商品代のほか、運送費、工事費、取り付け費はかかりますし、不備があった場合は自分で対応しなければなりません。購入してから、設置できませんでした。となると商品を買ったお金が無駄になってしまいます。
また、自分で安く買えたと思っていても、実は住宅会社を通して購入したほうが割引率がいい場合があります。住宅会社は独自の仕入れルートを持っているため、安く仕入れられることがあるのです。
施主支給のミスは工事に大きく影響する
家を建てるとき、住宅施工会社と設備機器や建材などのプランニングや工事費を含めて契約する場合がほとんどで、住宅会社や工務店によっては施主支給ができない場合があります。なぜ施主支給を断られることがあるのか?それは、「設備購入費による中間マージンがなくなるから」という理由以上に、重要なことが関係しています。
住宅会社や工務店の人たちは家づくりのプロで、きちんとスケジュールや工程を考えて作業しています。しかし、そこに家づくりに不慣れなお客様が自ら発注した商品を持ってくることで、スケジュールなどに大きく影響することがあるんです。お客様は、完璧に段取りしたと思っていても、商品を手配する日時がずれこむと、当然工事のスケジュールに影響を及ぼします。
そして、いざ商品を取り付けるとなったときに、取り付ける部品と商品が合わないと、きちんと設置することができません。部品の手配が必要になり、追加注文など想定外の手間が発生します。このとき、お客様がすぐに部品を手配できるのか、手配できたとしても工事のスケジュールにどれほどの影響があるのか、住宅会社にとって心配事が増えてしまいます。
また、お客様が持ち込んだ設備が、建てている家に相応しくない、品質の低いものだった場合、取り付ける側の住宅会社は「本当にこの設備でいいの?」と思いながら設置することになります。設備を選ぶことに慣れていないお客様が、設備の良し悪しを目利きするのは難しいと思います。安いからと自分の時間や手間をかけて施主支給するのか、住宅会社の人に任せて安心して工事を進めるのか、しっかり検討しましょう。軽はずみに施主支給する前に、住宅会社の人に相談してみてくださいね。
5)住宅に関する制度をチェック
家を買うとき、活用できる助成金や給付金があります。これらを活用することで、負担を少し減らしてマイホームを購入することができます。
最大30万円が受け取れる「すまい給付金」
家を買ったとき、収入に応じて一時的にお金がもらえる制度「すまい給付金」を活用すると最大30万円を受け取れます。この制度は、消費税率引上げによる住宅取得者の負担を緩和するためのものです。
申請は住宅に入居した後に可能です。住宅の引き渡しを受けてから1年以内(当面の間1年3カ月に延長)。申請はご本人でもできますし、住宅事業者などが申請手続きを代行する手続代行もできます。
ただし、消費税8%時の収入額の目安が510万円以下、消費税10%時なら収入額の目安が775万円以下の人が対象といったように制度を活用するためには、いくつかの要件があるので、ご自身が該当するかをチェックしてくださいね。
10年間で最大400万円を控除できる「住宅ローン控除」
「住宅ローン控除」は、年末の住宅ローン残高に応じて、一定額が所得税から控除される制度。10年間、年末ローン残高の1%が所得税から控除されて確定申告で戻ってきます。会社員など、所得税があらかじめ勤務先から納税されている場合、納めすぎた金額を確定申告で還付してもらえるのです。
なかには、10年間で400万円も控除を受けることができるケースもあります。しかし、これは「最大控除額」であって、誰もが400万円の控除を受けられるわけではありません。控除額は、住宅の性能、住宅ローンの年末残高、所得税額・住民税額などによって異なります。そのほか、返済期間が10年以上必要など、満たさないといけない要件があるので注意しましょう。
手続きは、住宅購入の翌年の確定申告期間に届け出を出すことでできます。住宅ローン控除は、住宅ローンを使って住宅を購入しようと考える人にとって大切な制度。詳しい手続き方法は税務署などでも紹介されていますので、参考にしてください。
ポイントを押さえてお得に家づくり
今回は、見積もりの段階から、家づくり、住まい完成後までを通して、家を買うときに大切な注意ポイントをお伝えしてきました。ただ、家を買うときの注意ポイントはまだまだ沢山あります。小さい金額ではありますが、諸経費を上手にやりくりすることで節約することができたり、ほんの少し間取りや設備を変更するだけでコストカットしたりすることも可能です。ここに書ききれなかった情報は、またの機会に紹介したいと思います!
値切りすぎに注意!?
ほかのWebサイトで、「値切ったら安くなる!」といって消費者を煽っているサイトがありました。たしかに、予算内で建ててもらいたいという気持ちは大切です。ですが、話し合いではなく一方的にひたすら値切るというのはオススメできません。家に限らず物には必ず適正価格があります。値切った結果、すごく安くなったとしても、人件費などが削減されて工事を請け負う職人さんたちのモチベーションが下がる場合も否定できません。
もし、金額に対して疑問に思ったときは、積極的に住宅会社や工務店の人に質問してみましょう。お金の内訳を聞いたり、この箇所はもう少し節約したいのですが……と相談したり。きっと丁寧に説明してくれると思います。
「安くしたい」という気持ちが先走ってしまうと、家族が快適に過ごすための優先順位を忘れがちです。一呼吸おいて、わが家には何が必要なのか、どこで節約するのか、お金の使いどころを意識しながら家づくりを進めましょう。