コラム
マイホームを志したとき、注文住宅にするか建売住宅にするか、迷う人も多いのではないでしょうか?今回は、注文住宅と建売住宅のメリット・デメリットをご紹介します。ぜひ、マイホーム購入の判断材料にしていただけたらと思います。
注文住宅のメリット
注文住宅をひと言で説明するなら、「住宅のオーダーメイド」といえるでしょう。既に建っている住宅を購入するのではなく、土地を購入して、自分の希望する空間を工務店の人と相談しながら作り上げていきます。そのため、自由度の高さが大きな魅力です。でも、メリットはもっといろいろあるんですよ。
間取りだけでなく、建材や性能も選択可能
さきほど、「注文住宅は住宅のオーダーメイド」と言いました。これを聞くと、間取りやデザインが自由なんだと思われるお客様がいらっしゃいます。もちろん、間取りやデザインは自由です。でも、そのほかにも建材や性能まで、細かなところまで自分で選択できる要素はたくさんあります。
耐震性能、断熱性能、照明の位置や数、コンセントの数。さらには、部屋の防音性能を変更することも可能なんです。壁紙の色、玄関の床材などにも希望を反映できるのは注文住宅ならではです。建売住宅にはあまりない二世帯住宅や平屋も注文住宅なら建築できますし、家族の人数やライフスタイルに合わせた住宅を建てられます。
お客様の希望のなかには、構造上や法律上それは出来ないというご要望もありますが、基本的に希望する住宅を建設できるのが注文住宅の最大のメリットです。
構造をチェックできて安心
建ってしまった家の構造や配管をチェックするのは、なかなか難しい。でも、注文住宅なら、建築途中も見学できるので骨組みや基礎の段階から確認できます。構造をチェックできるのは安心に繋がるので、注文住宅のメリットとして大きいです。
構造だけでなく、注文住宅は、プランニングから住宅の引き渡しまでの全工程に関わることができます。そのため、「自分が建てた家」という満足感が得られやすいのも魅力。注文住宅を建てるときは、ぜひ現場に足を運びましょう。
土地を選ぶことができる
すでに土地をお持ちの人以外は、土地の検討もしなければなりません。土地と建物がセットで販売されている建売住宅とは違い、注文住宅なら土地からこだわることができます。土地を探すのが面倒……と思っている人にとってはデメリットかもしれませんが、自分たちのライフスタイルにとことん合わせられるという点ではメリットです。
ただ、家づくりにおいて土地が占める要素は意外と多いもの。周辺環境が大切なのはもちろんですが、土地によって建てられる家のプランニングが変わってきますし、地盤が悪いと土地改良費に100万円以上かかってしまうケースもあります。そのほか、都市計画法や建築基準法などの法律もチェックしなければなりません。
購入した土地の形状や法規制などによっては、思い通りの住宅を建てられないこともあるので、土地選びを進めるのは、住宅会社や工務店を決めてからが良いでしょう。家づくりのプロならではの目線で、きちんとアドバイスしてくれるはずです。
注文住宅のデメリット
「注文住宅はオーダーメイドで自由に希望の家を建てられる」というと、良いところばかりに聞こえますが、何事にもメリットがあればデメリットがあります。次に注文住宅のデメリットをお伝えします
建売住宅に比べてコストが高め
注文住宅と建売住宅、同じような敷地面積・広さの住宅を建てた場合、数百万円単位で建売住宅のほうがお得にといわれています。でも、注文住宅は自分で自由にプランニングできるからこそ、費用も希望する家次第。こだわりのない部屋は、建築資材を安いグレードのものにするなど工夫をすることで、コストを抑えることも可能です。
つまり、注文住宅ならお客様の優先度を踏まえたうえで、費用の調整ができるのです。また、最初はすべての希望を盛り込んだ理想の住まいの金額を検討し、そこから足したり、引いたりしながら、予算に近づけていく方法もあります。注文住宅でも工夫をすれば、予算内で建築できるのです。
勉強や打ち合わせに時間が必要
自分たちの希望を反映できるのは注文住宅のメリットですが、業者に希望する物件のイメージを伝えるためには、何度も打ち合わせをしなければなりません。このときに、打ち合わせで工務店の話を理解したり、自分の希望を伝えたりするためには、それなりの知識が必要な場面もあるでしょう。そのため、事前の勉強が必要になります。また、工務店との打ち合わせの前には、家族全員で考えをまとめておく話し合いの時間をもつようにしてください。注文住宅を建てるためには、勉強して知識を深め、家族会議をして考えをまとめ、ようやく業者と綿密な打ち合わせをすることになります。
打ち合わせが不十分で、イメージと違う住宅が完成してしまっては大変です。せっかくオーダーメイドの家を建てるのに、意味がなくなってしまいます。疑問や悩みを工務店の人に相談にのってもらいながら、家づくりを進めましょう。
建売住宅のメリットは
建売住宅は、土地と住宅をセットで販売している新築分譲住宅のことです。既に立っている家を購入するため、購入から入居がスピーディなのが特徴です。ここでは、建売住宅のメリットを紹介します。
手続き簡単!素早く購入したいなら建売住宅
建売住宅なら、購入できればそのまま入居が可能。このスピード感は、注文住宅では得られないものです。子どもの新学期に合わせたい、急な転勤で焦っている、なんて場合に大きなメリットになります。注文住宅のように、綿密な打ち合わせが不要なので、忙しくて家づくりに時間を割けられない人にはいいでしょう。
購入手続きも注文住宅よりも簡単なケースが多いです。なぜなら、土地代と建物代がわかりやすく、複雑な手続きを減らせられるからです。マイホームを契約したら、手付金を支払った後から住宅ローンなどを組むことが多いのですが、このとき建売住宅なら手順が単純化します。金融機関とのやり取りも、不動産会社などが間に入るためスムーズに進められます。
好条件な土地に建てられているケースが多い
建売住宅は、新規開発地に建てられることが多く、近隣の環境に恵まれているケースも少なくありません。生活環境が好条件であることは建売住宅のメリットです。
区画整理されているなら、境界もハッキリしています。そのため、隣地とトラブルになる可能性も低いといえるでしょう。建築に合わせて、周辺道路の整備などが行われる場合もあり、高い利便性を期待できます。
注文住宅よりもリーズナブル
注文住宅の項目でもお話しましたが、同じ住宅を建てた場合、注文住宅より建売住宅のほうが割安です。注文住宅と違って、建売住宅のプランニングには施主が参加しないので、手間や段取りを省略できるからです。また、建材などの仕入れを工夫してコスト削減したり、低価格でも見栄えよくデザインしたり、上手にコストカットしています。大工や職人の繁忙期を避け、手が空いている時期に工事スケジュールを組みことでコストを抑えているケースもあります。
ただ、コストカットされている住宅なのもあって、設備などが平均的な品質に留まりがち。その理由は、建築会社や不動産会社の利益を確保したうえで、売れる価格に収めたい。売れ残らないために万人受けする住まいを建てたい。という企業側の気持ちがあるからです。
建売住宅は、リーズナブルな価格を売りにしていることが多いので、購入を検討するときは、どうして低価格にできるのかを住宅会社に聞いてみて下さい。その回答に説得力があるかないか、隠していることはないか、などを見極める必要があります。可能であれば、その会社が建築中の建売住宅の現場を見学するのもオススメです。
建売住宅のデメリットは
建売住宅選びで失敗しないためには、デメリット部分をひとつずつ解決していくことが大切です。次にお伝えするデメリットをきちんと理解して、住宅を選びましょう。
間取りやテイストなど、多少の不満は覚悟して
既に完成している家を購入するのが建売住宅の特徴です。なので、実物の家を見て購入するか判断できるため、「設計図のときとイメージが違う」という失敗はありません。でも、これはメリットにもデメリットにもなります。なぜなら、注文住宅と違って、構造に関する変更が難しいからです。もし、バリアフリーにしたい。二世帯住宅にしたい。と思っても大きなリフォームは難しいでしょう。
また、全体的には気に入っていても、細かい部分を見ると完全に家族の希望通りではない。なんてこともあります。間取りはよくても、壁紙や扉のデザインは好みじゃないといった具合に、小さな不満が出てくるのです。完成している建売住宅の場合、もし変更が可能であっても、それなりの費用を求められるでしょう。
ご家庭によって、理想のマイホーム像はそれぞれなので、自分たちにとって完璧な建売住宅と出会うのは至難の業といえます。なので、どこかで妥協が求められます。現在だけでなく将来の生活をイメージして、長く暮らしていけるかを検討してください。
注文住宅の場合は、設計者のアドバイスのもと、施主のライフプランに寄り添ってプランニングをしていきます。でも、建売住宅では、買主が自分自身で将来の生活をイメージして、検討していかなくてはいけません。
構造のチェックができず不安が残る場合も
近年、地震やゲリラ豪雨など災害に関する関心度が高まっています。そして、それに伴い、家に対して「家族を災害から守る役割」を強く求める人が増えてきました。これまでより一層、住宅の構造が注目されているのです。
しかし、建売住宅の場合、もう既に建築作業が終わっているため、途中経過を観察することはできません。きちんと施工されていたのか、どんな建材が使われていたのか……事前に知ることができないのです。建築基準法を満たしていれば、最低限の安全は保証されますが、それでも実際に目で見て確認できないのは不安が残ります。
一方、注文住宅の場合、施主が工事中に現場に足を運ぶことができ、図面通りに建てられているかなどを確認できます。このとき、職人さんへ労いの言葉をかけることで、コミュニケーションをとることもできます。それができない建売住宅の場合、注文住宅と違って施主と職人さんとの関係を築くのは難しいでしょう。
建売住宅でも、きちんと建築してくれている業者がほとんどですが、つくり手との関係性が薄いことが、欠陥住宅に繋がることもあります。最近ではあまりありませんが、欠陥住宅は、注文住宅よりも建売住宅のほうが多いです。建売住宅の場合、施主に構造をチェックされることがなく、手抜き工事が行いやすいからでしょう。しっかりと住宅会社を見極めてくださいね。
アフターメンテナンス体制をきちんと確認
注文住宅の場合、お客様は住宅会社や工務店を信頼して契約し、数千万円を支払います。住宅プランから資金計画まで、住宅会社がお客様のご家庭に親身に向き合います。その結果、お客様と住宅会社は深い関係を築くことができます。
しかし、建売住宅のなかには、「売り切り」のスタンスでお客様に接する会社もあります。住宅には瑕疵担保保険があるので、一定期間は構造上の大きな欠陥などに対応してくれますが、期間が過ぎたら対応してくれないケースもあります。
なので、注文住宅と違って、建売住宅の場合は家のメンテナンスをしてくれる人がいないという状況になるのが心配です。注文住宅なら、建てた後も家に関する相談に乗ってもらえても、建売住宅だと自分で専門業者などを手配する必要があります。
アフターフォローが不十分だと、長く暮らすことを考えると不安が残ります。建売住宅は比較的安価ですが、金額に着目するだけでなく、販売元の会社の体制を把握しておかないと、あとあと後悔することになります。
注文住宅と建売住宅、どっちがオススメ?
注文住宅と建売住宅のメリット・デメリットはご理解いただけたでしょうか?注文住宅を選んで、オーダーメイド形式でこだわりの時間をかけて家を建てるのか。建売住宅を選んで、プランは妥協しても短期間・低コストで家を建てるのか。どちらのほうが良いかは、ご家庭によって判断が分かれると思います。
ただ、どちらを選ぶにしても、両方の長所や短所を理解して、冷静に調べるようにしてください。家は購入した後に、気に入らないからといって簡単に買い替えることはできません。デメリットを上手にカバーする方法を考えながら、自分の理想のマイホーム像に近づけましょう。