コラム
全館空調というシステムが大手を中心に流行ってきています。
全館空調システムで一番数を販売しているのは、三井ホームさんでしょうか。搭載率は、9割を超えたということです。
全館空調システムというとどういうイメージをお持ちでしょうか。
当社のお客様に聞いてみたとこと、こんなことをおっしゃっていました。
「全館空調システムというと高いというイメージで、光熱費も当然高くなるだろう。」
今回はこの記事で、全館空調システムについて、皆さんのイメージと実態がどのぐらい離れているか?を書いていきたいと思います。
全館空調システム
まず、全館空調システムを導入するにあたって技術的なハードルを少しお伝えしていきます。
全館空調というのは、基本24時間365日動いているというシステムです。アメリカやヨーロッパの住宅はセントラルヒーティングシステムが完備されているので、日本の住宅よりも室温の変動が少ないのですが、使っているエネルギーは圧倒的に少ないというデータがあります。
経済産業省の主催する『住宅・建築物のエネルギー消費性能の実態等に関する研究会(第5回)』で配布されているデータによると、住宅全体でのエネルギー使用量は、アメリカの半分以下、ドイツ・フランス・イギリスの4割減となっています。
特に建物の暖房だけ見ると1/4となっていますので、日本は圧倒的に暖房費が少ないのです。
これは、アメリカ、ヨーロッパでは全館空調システム(セントラルヒーティング)が中心で、日本が各居室にエアコンやストーブなどの暖房器具を使っているという理由だからです。
ですが、我慢づよい日本人が省エネのために我慢して暖房使用量を節約しているというのも、日本の住宅の側面です。
慶応大学の伊加賀教授が発表しているのは、日本の住宅の室温の低さです。
WHO(世界保健機構)が冬の住宅の室温を18度以下にすると健康に影響が出ると勧告を出していますが、日本の住宅は、伊加賀教授の調査によるとリビングの6割、寝室の9割以上が達成できていません。
ということで、全館空調システムの導入が望まれているのです。
全館空調システムの前提条件
全館空調システムは、どんな住宅にも導入いただけますが、このところの電気代の高騰によって、高額な電気代が請求される事例が続出しています。
2022年末には、北海道ではなんと1ヶ月で15万円もの電気代が請求されている事例もあったほどです。
そのため、当社としては、こんな社内ルールを決めています。
⦁ 断熱等級6以上の性能にする
⦁ 冬の太陽光の取得、夏の遮蔽を徹底して、自然エネルギーを使って冷暖房費を最小にする
⦁ 導入する機器は極力省エネなものにして、電気代を抑える
こうしないと、三重県は北海道ほど寒くないので、15万円ということはないですが、真冬の1月の電気代が4万円を超えることも想定されます。
自然エネルギーは、なんといっても無料(0円)ですから活用しない手はありません。
実際の全館空調システム
当社では、松尾設計室の松尾先生のご指導によって、床下エアコンと小屋裏エアコンを使った全館空調を実現しています。
大手ハウスメーカや他社の場合は専用のシステムを使うので、導入も高価だし、メンテナンスにも多額な費用がかかる場合があります。専用のシステムの場合は、総額で300万円以上かかるものも多いのが現状です。
昨今、建築費用が上昇してお客様のご予算が厳しくなっている現状に対して、追加で300万円というのはとても重いです。
それに比べて、当社の全館空調は家電量販店でも買えるエアコンと電気工事店ならどこでも買える市販品のファンなどを組み合わせて構成されているので、導入費用はエアコン2台を含んでも120万円ほどです。エアコンを除くと工事費用を含んでも50万円程度で組み立てられています。
全館空調システムを導入される場合は、この3つのポイントに気をつけて検討いただければと思います。
⦁ 導入費用が高額になりすぎないか?
⦁ ランニングコストが真冬、真夏に高くなりすぎないのか?
⦁ 室温の検討はどの程度されているのか?(つまり、冬に寒く、夏に暑いと意味が無い)
ということです。
全館空調システムを検討の場合は、全館空調を考えているとお伝えいただければ、設計プランでも無駄のないご提案ができると思いますので、ご相談ください。